さかつれづれ

さかりょうの雑記帳です。

人の振り見て気を引き締める(4)

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さかりょうです。

ちょっと昔の話。なのでタイトルの「人」は過去の私も指しています。

とある会社に中途入社して研修を受けながら働いていました(働きながら研修を受けていました)。

毎日レポートを提出しなければならず、まず上司の検閲で合格しないと社長に出せません。

検閲1回目で合格することはなく、合格するまで何度も書き直し(パソコンで打ち直し)です。

深夜2時過ぎまでかかることもザラでした。

研修で何があったか、何を学んだか、までは事実を並べれば良いのですが、それに基づいてどう思ったか、どうしたいか、どんな会社にしたいかという気持ちを書くのがね、企業理念や経営理念を絡めないといけなくて、入社したばかりの私には実感が湧かなくて難しかったんです。

「企業理念をわかっていますか? 経営理念をわかっていますか? ちゃんと理解していれば、何を書けばいいか自然に出てくるはずです」

っていつも怒られてました。

未経験の仕事を覚えるのに必死で、知らんがなって思ってたのは今だから言えること。

(深夜2時過ぎまで会社にいたわけではありません。定時までに合格しないと「続きは家でやってください」と帰ることはできました)


さて、そんな私も3年目になった頃、中途入社した人(Aさん)の研修を一部担当することになりました。

知らんがなって思っていた私でも3年で人を育てる立場になったのは、上司も先輩方もどんどん辞めてしまったからです。

人を育てるための研修なんて受けていないし、ノウハウも持っていませんから、自分が経験した記憶に基づいてやるしかありません。

とある日のレポートに「お客様から**というご要望をいただいたのですが、どのように対応して良いか分からなくて困りました」と書いてありました。

そう、私も研修中に何度も「マニュアルにない要望への対応」に遭遇しました。

技術的なことであれば、上司や先輩方もすぐに教えてくれます。

しかし、お気持ち的なことになると、いつも決まった答えしか返してくれませんでした。

「企業理念や経営理念を理解していれば、どう対応したら良いか答えは自ずと出るはず」

私はついうっかり、その文言をレポートの返信に書いてしまいました。

私もそう言われてこの会社で育ってきた。

この研修に耐えられなければ、この会社ではやっていけない。

いわゆる「同じ苦労を味わいなさい」的なことをやってしまったんですね。


ちなみに「企業理念や経営理念に沿った対応」を通訳すると「お客様に合わせて臨機応変に」でした。難しいよね!

せめて「今回のケースだとこう対応したほうが良いかもしれません、理由は****だから」って自分の考えを伝えるべきだったなと思います。

がしかし、そういう返信を書いた私は社長に怒られたでしょうけどね。


このときの私は、上司も先輩方も退職してしまい、自分も早く逃げ出さなくては!と焦っていました。

Aさんの試用期間が終わったら辞める予定だったのです。

しかし、試用期間も終盤にさしかかったころ、Aさんは突然辞めてしまいました。

他部署から応援に来ていた人が言うには、突然辞めた前日にAさんから「さかりょうさんって辞められるんですか?」と聞かれたらしい。

えーん。でも、Aさんの判断は正解です。。。


自分が0から苦労したように、新しい人にも同じ思いをさせる。

自分が大変だったから、苦労させないように手取り足取りやってあげる。

どちらも違うよなーと今では思います。

そもそも、ほとんどのことは先人たちの作った道があるので、0からスタートではないんですよね。

道を作ってくれてありがとうございます、と感謝して通ります。

そうして時代に合わせて改善した道は、あとから来る人のために壊さずに。

別れた道のどちらを選べば良いか分からなくて、間違えてしまって苦労してやり直した場合、その苦労をする必要がないと思うなら、標識を立てておく。

自分が苦労したから、あとから来る人が効率よくショートカットするのは許せない、というのは違うなと。

もちろん、聞かれてもいないのに先回りして「この道はこうだよ!」というのも余計なお節介なので気をつけます。


あ、先に話した会社は(非常に大変な思いをして)退職しました。

この会社はもうありませんので、安心してください。